2014年7月に東大編入合格した、O.T.氏から体験談第3号が送られました。
基本学年上位にいるタイプです。実際学年1位なので。
それは行動から来てるというのがよくわかります。
とは言え、O.T.氏の体験談で一番目を惹いたのは試験前ですな^^
そう来たか!
~管理人~に報告メール着
O.T.氏
初めまして,今年度東大物理工学科の編入試験に合格しましたO.T.と申します. 小山太郎流は学習の際の参考にさせていただき,とてもお世話になりました. 後輩への良い(?)プレッシャーになると思いますので,体験談を送らせていただきます. 編集等大変だと思いますが,よろしくお願いいたします.
管理人
うっす!O.T氏、合格おめでとうござんっす! そして体験談も早速ありがとうござんっす!! いや~~どうにか今週末までには編集しますよ・・・ というのも実はO.T氏は3番目っす。 皆忙しいのに後輩想いな人達ばかりだなぁ。 素晴らしい!
O.T.氏
了解です! 毎年ご苦労様です(`・ω・´)ゞ
管理人
ふーー。今週に入って3つめの体験談なんで、ちょいと遅れても文句言われないように「忙しい」アピールしといてだな(笑)
っと、そんなことする暇あるなら体験談さっさと編集しろって!?
おっしゃる通り! by独り言
きっかけ
私は情報系で,あるとき量子情報に興味を持ちまして,東大の物理工学科が良いのではないかと思い始めました.その後物性の方に興味が移りましたが,それでも物工が最適だろうと考えました.東大はたぶん無理だろうと半ば諦めていたので,本格的に入りたいと思ったのは一次試験に合格した後です.
初期状態
席次:1年~4年まで学科で1位(1年の時は混合学級で,そこでは2位でした) 頻繁に他の人に数学・物理を教えていました.また,数学に関しては長期休暇の間に
教科書を一通り全部やる→細かいところを授業で理解する→それでも分からなかったら調べる,
といった感じで勉強していました.
1〜2年
数学と物理ばかり勉強していて,ときどき高校生が受ける大学入試問題をお遊び気分で解いていました.1年の冬に数検2級,2年の頃に数検準1級をとりました.また,科学の甲子園の予選にでてみたり,数学オリンピックの予選を受けてみたりしていましたが,どちらも予選落ちでした.2年の冬の頃にスバラシク実力がつくと評判の力学キャンパス・ゼミ を読んでいた覚えがあります.TOEICはだいたい400ぐらいでした.
3年前期
到達度試験は数学:400/400,物理:375/400でした.
英語
英語はどうしても勉強する気になれず,思い切って仙台の某予備校に行って個別指導してもらいました.そのおかげで,もともと400点台だったTOEICのスコアは,半年後には700点ぐらいまで上がりました.英語の勉強をしようとするといつの間にか数学・物理を始めてしまうので,この決断がなかったら普通に落ちていたと思います.(予備校の宣伝みたいになってしまいましてすみません)このときはTOEIC対策として公式問題集等をやっていました. 冬にはプレコンのスピーチ部門に出場しました.発音が良くありませんが,内容のインパクトと論理性がけっこう高評価だったようです.
数学
数検1級に向けて勉強し,秋に合格しました.数検1級は編入試験と範囲がけっこうかぶっているので取ることをオススメします.数少ない外部で受けられる大学範囲の数学の試験です.ちなみに,同じクラスで東大に合格している友人Sも数検1級を取っています.数検1級対策ではこの2冊を使っていました. 「数検」新過去問題集1級・準1級 実用数学技能検定「数検」発見I 改題版 -1級完全解説- この時点で,数学の典型的な編入試験問題はある程度解けるようになっていました.
物理
他学科の人に協力してもらい,他学科の電磁気学の授業に合わせて電磁気学を勉強しました.授業にはでていませんが,少しは電磁気学の計算ができるようになりました.そのとき使っていた本はビジュアルアプローチ電磁気学 ←これです. 後期に解析力学・統計力学の勉強会を先生が開催しまして,それの解析力学の方に参加し,ラグランジュ方程式の扱いに慣れました.ラグランジュ方程式は力学に限らず,数学・物理でよくでてくるのでやっておいて損はないと思います.(例えば最速降下曲線を求めたいときとか,フェルマーの原理とか)
統計力学の方は,残念ながらプレコンの練習で参加できませんでした. 冬には量子情報を勉強しようとして挫折し,量子力学を勉強すれば分かるようになるのではないかと思って量子力学を勉強し始めました.量子力学の勉強には量子力学1 (KS物理専門書) ←この本を使いました.けっこうメジャーです.このころはほとんど理解できず,理解し始めたのは4年になってからです.
この年の冬以降,ときどき某SNSで編入試験の数学や物理の編入試験問題を1つ上の先輩と一緒に解いていました.この時はおそらく筑波の問題を解いていたと思います.
4年前期
英語
TOEIC対策をしていました.
数学
某SNSで1つ上の先輩と一緒に編入試験問題を解いていました.筑波大の他にも東工大の問題も解いていたかもしれません.物理の勉強で今までやっていた数学をけっこう使いました.
物理
某SNSで(以下略 引き続き電磁気学を勉強しました.このときは主に電磁気学 ←この本を使いました.ベクトル解析を多用していて,とても分かりやすいです. インターンシップでJAISTに行くことになったので,それに向けて友人Yと,だいたい週一のペースで量子力学・統計力学の勉強会を始めました.私が量子力学を教えて,Yが統計力学を教えるという形です.ときどき先生からのサポートも受けました.量子力学は専攻科の授業の講義ノートをもとに,猪木・河合を参考にしながらやっていました.追加で量子化学的な内容もやっていました.統計力学は田崎先生の本統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ) を使っていましたが,ほとんど理解できていませんでした.
インターンシップ先では「スパコンを使った第一原理計算による電子状態解析」というテーマで,約一週間の期間,第一原理計算ソフトの体験をし,その原理を勉強しました.その研究室では「第一原理計算による材料設計」を研究のテーマとして掲げていました. (まさかこのときの知識が,後に英語の試験で役立つとは思っていませんでした.) これらに加えて,放送大学の授業で,量子力学と現代物理の授業を取りました.
4年後期
私のいる高専では4年の後期から研究室配属があります.物理系の研究室に配属させてもらい,強相関電子系に関する理論研究をやり始めました.後期の後半は卒研に没頭していました.
英語
東大の英語の問題がとても難しかったので諦めムードでした.英作文を勉強し始めました. 頻出英作文完全対策 (大学受験スーパーゼミ) ←これを使っていました.
数学
物理の勉強で使いました.
物理
Sとマクスウェル方程式をもとにした電磁気学の勉強会を始めましたが,卒研が忙しくなってきて途中で自然消滅しました.理論電磁気学 ←この本を使いました.メジャーな本です. 加えて,卒研の内容の基礎(物性や第二量子化等)を勉強しました.
4年春休み
Sと東大の数学,物理対策の勉強会を始めました.週一で集まって,あらかじめ東大の編入試験の数学と物理を1年分解いておき,互いに発表する形式で,自分が物理を教えて,Sが数学を教えていました.単に自作の解答を発表するだけでなく,それが厳密か,他に解く方法はないのか等も議論していました.
英語
引き続き英作文に重きを置いて勉強していました.ドラゴン・イングリッシュ基本英文100 ←これも使いました.
数学
勉強会以外は,たまに適当に問題を解いたりしていました.
物理
数学と同様
5年4〜6月
序盤は現実逃避も兼ねて卒研に時間を割いていました.Sとの勉強会に加えて,友人N(東工大志望)と東工大の化学対策の勉強会(週一)を始めました.Sとの勉強会はNも加わり,引き続き週一でやっていました.
英語
自由英作文と英文解釈に重きを置いて勉強しました.宮崎の今すぐ書ける英作文―大学受験英語 (自由英作文編) (東進ブックス―名人の授業) ←自由英作文はこれを,最高レベルの学力養成 ライジング英文解釈―英文構造を徹底理解 (ライジングシリーズ) ←英文解釈はこれを使って勉強しました.自由英作文は先生から添削を受けました.ある程度やったところで過去問をいよいよやり始めて,先生に添削してもらいました.去年の分を除く,直近8年間分を添削してもらいましたが,だいたい7割ぐらいはできていたようです.時間的にきつかったので自信はありませんでした.この時期のTOEICスコアは770です.
数学
勉強会と卒研
物理
勉強会と卒研 勉強会で,最終的に10年分の数学・物理の過去問をやりました.数学はだいたい8~9割,物理は7割~9割といった出来でした.
試験直前
小山太郎流を眺めるとプレッシャーで寝付きにくくなるので見ないようにしました(笑) 友人S,Nとの数学・物理の勉強会はやめにして,英語に力を注ぎました.このときも東工大の化学対策の勉強会はやっていました.
英語
試験前日に去年の問題をやりました.今までとは逆に時間が余ったので,「もしかしたらいけるかも…」と思い始めました. 数物は特にやっていません.
試験
ホテルに自宅の枕を持ち込んで万全の態勢で臨みました.試験の出来が悪かったときのために化学の参考書をスーツケースに入れていて,「落ちても次があるからなんとかなるだろー」といった気持ちで試験会場まで行きました. 詳しい問題の内容は覚えていないので,過去問を参照してください.
英語
- 環境問題についてのディクテーションとT/F
- 忘れました.長文の全訳
- 忘れました.和文英訳
- 車の自動制御についての長文
- 第一原理計算による物質設計(!!!)
についての自由英作文 試験が始まってすぐは頭が真っ白になっていて,最初の長文の全訳で焦ってしまいました.たぶん変な訳を書いていたと思います.自由英作文で「第一原理計算による材料設計」に関連する内容がでて,奇跡が起きたと思いました. 自由英作文はなかなか書きにくい問題が多かったのですが,今回はある程度専門的な単語も知っていたのですらすらと書くことができました.第一原理計算は英語でfirst principles calculationですが,ab initio calculationの方に慣れていたのでこちらで書きました. なんとか6~7割ぐらいとれたかな?といった感じの出来具合です.
数学
- 微分方程式
- 確率漸化式
- どちらかがサイクロイドの問題で,もう片方が複素関数の問題
- 行列
無駄に緊張しました.大問1の微分方程式で,非斉次定数係数線形二階微分方程式の定数変化法がでてきて,「あ,この問題,某SNSで見たことある問題だ!」と喜びましたが,油断していたら計算ミスして時間がかかってしまいました.慢心は命取りです.大問5の最後の小問で,それまでの小問とのつながりが分からず,今までの小問の流れをぶった切って,正定値対称行列であることと正定値対称行列の二次形式は0以上になることを一から示しました.サイクロイドの問題の最後が変な答えになってしまったところと,確率の問題の途中で試験が終わってしまったところでけっこう失点がありそうだと思いました. 出来具合は8~8.8割ぐらいだと予想しました.
物理
- 2つの球が衝突する問題と球に急に速度を加えたときの運動の問題
- ごく普通の電磁気学の問題
- ほぼ熱力学の問題 大問1の力学の小問(2)がどうしても解けず,余計に時間がかかりました
このとき,タイミング良く雷が鳴っていたことを覚えています.物理で大ゴケするフラグだと思いました. さらにその後の問題も,慣性モーメントの計算で掛け算のミスをしていました.(数日後に急に気づきました.)大問2は普通の電磁気学の問題で,ここで持ち直しました.大問3は光子の運動量を求めてから気体分子運動論的な計算をして,さらに熱力学的な計算をして,最終的にシュテファン・ボルツマンの法則を導出するような問題でした.大問1で時間をかけすぎてしまったせいで大問3の後半の説明が甘くなってしまいました. 出来具合は7~8.8割ぐらいだと試験直前は思っていましたが,慣性モーメントの計算でミスがあったことに気づいた後は6~8割ぐらいに下方修正しました.(他でも同じようなミスがあってもおかしくないので…)
一次試験の合格が決まった時はとてもうれしかったです.同時に,「二次試験の英語面接どうしよう…」と憂鬱になりました.とりあえず寺田虎彦の随筆集を買って読み,英字新聞で最近のニュースをちょっとだけ読み,大学入試の面接の本を買って,そこにある質問を英語で答えられるようにしました.また,予備校の方で英語面接対策をやっていただきました.
面接
ひどい頭痛になりながらも試験会場へ向かいました.だいたい1人約10分ほどだったので,もしかして英語面接はなくなったのでは?と期待しました.案の定,英語面接はなくなっていました.質問内容は以下の通りです.(覚えている範囲)
- 志望動機は何か
- 物理の勉強は学校の授業としてやっていたのか
- 放送大学で物理系の科目の単位認定をされているようだけれど,どういう仕組みなのか
- 物理を勉強しようと思ったきっかけは何か
- そのやりたい研究(強相関電子系の数値的解析)はどういう風に工学に役立つのか
- コンテストのようなものが好きなようだけれども,なぜ出場しようとしたのか
和やかな雰囲気で,面接が終わった後は受かったことを確信しました.
試験結果
当初の予想よりも全体的に良い結果でした.
英語:351/500 数学:421/500 物理:247/300
その他
英語
英語に関しては予備校と学校の先生にいろいろとサポートしていただけたのがとても強かったです.1人で勉強していただけでは絶対に合格できませんでした.
数学
一番大事なのは基礎だと思います.私の場合は自分で教科書を一通り全部やってから授業を受けていたので,細かいところまで理解できたのだと思います.基礎は抑えたけれどどうやって勉強すれば良いのか分からない,という人には数検1級をとることをおすすめします.
物理
物理の授業は1,2年生のときの高校物理(1年の時は週2時間,2年の時は週3時間),4年の時の電磁気学(週2時間)しかありませんでしたが,それでも独学である程度はなんとかなるものだなと思いました.物理の授業が多い人はとても羨ましい限りですので,授業を最大限に利用しましょう. 4年生以降は編入試験と関係のない物理の勉強が多かったですが,その分数学の方の力がついたと思います.
勉強法
私は他の人に教えたり,勉強会を開いたりすることがよくありました.1人で勉強するよりも,他の人に教えたり勉強会を開いたりした方がずっと力がつくと思います.他の人に教えるのは記憶にとても定着しますし,しっかりと理解していないと必ずボロがでます.また,1人で勉強するだけでは論理的な飛躍に気づかないことがあったり,途中で挫折したりすることがよくあります.大学で自主ゼミを開くモチベーションはそこにあるのでしょう. わからなかった問題はその類題を自分で作って誰かにだしてみると面白いと思います.
管理人
さーどうでした?
早くから始めた勉強会。これはすごくいいですね。お互いの進捗だけでなく、理解を深めれる勉強会はよきライバルは当然、それを遥かに超える利益をお互いにもたらしますね。
英語への勉強も環境を自ら変えてものにするのは素晴らしい。他の体験談でも触れてますが、英語圏の国に短期語学留学も兼ねて行くというのも、英語に興味を持つきっかけになると思います。ので、英語に対して今ひとつ向き合えない場合は、環境を変えてみましょう。
あとは、試験前の対策。これ参考にすべしですな。
・マイ枕!!!!!!!
このアイデアはマジで素晴らしい。この発想はなかった。が重要。非常に重要。
ホテル生活に慣れてる人は高専生には皆無だろうから、これはかなり有効だなと。
・小山太郎流は禁止!!!!!!
俺も嫌われたもんだぜ(笑)というのは冗談として。ん?実は本気?(汗)
プレッシャー下では実力を出し切れないというので封印。
これ皆さんやりましょう。
試験終わったら嫌というほどF5 or Command+Rですな。
参考書一覧
ノートに関しては添付した画像でお願いします.主に1~3年の頃のノートで,だいたい合計200冊ぐらいです.4,5年生のときはルーズリーフを使ってみたりプリントの裏に書いたりしていましたが,全てリサイクルボックス行きになりました.中身は乱雑な計算ばかりです.大きさの比較のためにDUO 3.0を置いています.