確か体験談を送ってくれたのはお盆休み。それから管理人の堕落(?)により、時は9月になってしまってからの公開です。
第一弾なのに遅れて本当にすんません・・・
っと、そんな謝ってる時間があるなら体験談公開に向けて仕事しろと^^;
管理人に報告メール
おのちゃん氏
はじめまして。
松江高専情報工学科のおのちゃんと申します。
この度、東京大学編入学試験においてシステム創成学科に合格しました。
小山太郎さんのサイトに大変お世話になったので、ぜひ体験談を投稿させていただきたくご連絡させていただきました。
管理人
体験談、書いてもいいですか?メールはきたけど体験談来てないので第一弾です^^
空気読んでかお盆期間に送ってくれてありがとうござんす!
とは言え、ちょいとやることもあって恒例の激遅編集になりますが
気長に待っていただければ^^;
というわけで気長な人でもさすがに1ケ月以上待たせるのは管理人としてそろそろ失格なのでは!?汗
きっかけ
一年生の頃から大学編入を考えていました。これまで本気で勉強したことがなかったので、どうせやるなら一番高いレベルを目指そうと思い、東京大学を第一志望としました。また、高専でボートというスポーツを始め部活に熱心に取り組んでいたのですが、大会で東大の練習環境を知ることができ、勉強もスポーツも日本一を目指せたら面白そうだと思ったのもきっかけの一つです。
当時のスペック
順位
1年:1位
2年:2位
3年:2位
4年:4位
TOEIC
4年11月:785
4年1月:860
1~3年
基本的に部活しかしていません。勉強はテスト前1、2週間で詰め込んで点数だけはとっていました。限られた時間で効率をあげることを意識していたので大きく成績を落とすことはありませんでした。
部活の成績としてはインターハイで決勝にいったり、国体で優勝したりしました。この時に部活に本気で取り組んだことが編入勉強にもいきてきたと思います。低学年の時は勉強以外の好きなことに打ち込めて、そこからでも間に合うのは高専の利点だと思います。
3年春休み
平均勉強時間 3時間
コロナウイルスの感染が広がり始めました。寮にいて部活をしていたのですが、強制的に実家に帰され時間ができました。そろそろ編入勉強を始めなきゃいけないと思っていたのでこの時期から本格的に勉強をスタートしました。まだ志望校は決めていなかったのでとりあえず数学と英語は必要だと思いこの2教科を始めました。
数学
これまでの復習と基礎固めのために「編入数学徹底研究」を始めました。知らない知識も多く章末問題は骨のある問題ばかりだったので、時間をかけながら解き進めました。
英語
TOEICで730点以上(筑波大学の満点ライン)を目指すことに決めました。とはいっても、学校でもらった単語帳もあまり覚えていなかったので「DUO3.0」を購入し基本単語から始めました。単語帳は基本的にどれでもよくて、大事なのは分からない単語が多い序盤でどれだけ挫折せずに続けるかだと思います。DUOはある程度覚えてCDを使い始めるあたりが一番楽しいです。
4年前期
平均勉強時間 4時間
遠隔授業だったので必要最低限の理解で課題を早く終わらせ、残りの時間で編入勉強をしていました(授業動画は倍速で見てました笑)。たまに友達とZoomで一緒に勉強したりしていました。
数学
徹底研究の応用数学以外を1周終わった後、「編入数学過去問特訓」を始めました。かなり難しく挫折しかけました。簡単に解けた問題は印をつけていくことで進捗を視覚化し、2週目以降にやる問題を減らしていきました。難しい問題はすぐに解答を見て、自分で同じように書いてみることで解答ごと覚えるようにしました。これ以降の問題集でも基本的にはこの進め方をしました。一周にかかる負担が減るのでおすすめです。
英語
引き続きDUOを覚えました。机に向かいたくない時はシャドーイングしながらランニングしたりしてました。そのほかに、「金のフレーズ」、「EVERGREEN」、「TOEIC L&Rテスト文法問題でる1000問」、「TOEIC公式問題集」に取り組みました。6月に自宅で受けられるTOEICの模試があり、予想スコアが700くらいあったので勉強の成果が出ていることを実感しました。
4年夏休み
平均勉強時間 平日5時間 土日1時間
平日は勉強、土日は部活の練習という生活を続けていました。少しずつ東大を意識した勉強をするようになりました。
数学
過去問特訓の応用数学以外が一周終わった後、分野に絞って参考書を始めました。線形代数を「ベクトル・行列・行列式 徹底演習」で、確率を「細野真宏の確率が本当によくわかる本」で勉強しました。
英語
TOEICの勉強に加えて、「ポレポレ英文読解プロセス50」、「ドラゴン・イングリッシュ基本英文100」、「速読英熟語」、「速読英単語2上級編」に取り組みました。ポレポレと速単上級編はレベルが高く、何周もすることで覚えていきました。もう一つレベルの低い英文解釈の参考書を挟んでもよかったかもしれません。
4年後期
平均勉強時間 5時間
対面授業が再開し、部活の大会もあったので勉強時間が減った時期がありました。ただ他の人より進みが早いのは分かっていたので特に焦ったりはしませんでした。部活ではインカレに出場して3位になりました。東大ボート部の練習環境も見ることができ、ここで練習出来たらいいなと考えていました。
数学
「大学・高専生のための解法演習 微分積分〈1〉〈2〉」をやりました。〈2〉の微分方程式のとこだけで基本的には東大に必要な箇所は網羅できると思います。また複素関数について「スバラシク実力がつくと評判の複素関数キャンパス・ゼミ」で学びました。2周以上することで少しずつ理解を深めました。その後、徹底研究、過去問特訓の応用数学の範囲を解きました。複素関数以外は優先度が低いので基本の理解だけに留めました。
英語
11月のTOEIC公開テストを受け、スコア785を取ることができました。1月も受けて860を取ることができ、TOEICはここで終えました。新たに「鉄壁」で語彙強化、「大学入試英作文ハイパートレーニング和文英訳編」、「工業英語ハンドブック」で和文英訳の練習をしました。
4年春休み
平均勉強時間 8時間
これまでもずっと考えていましたが、志望する学科をさすがに確定しようと思いました。データサイエンスやAI、またそれらのビジネス活用など社会に近いところに興味があったので、2科目受験というのも併せて第一志望をシステム創成学科としました。過去問を始めたのもこのあたりです。B4の紙を使って本番と同じように解答作成するようにしました。過去問の解答は先輩からいただき、それでも分からない時は先生に質問に行っていました。本当に助かりました。
数学
過去問を試しに解き、7割近くとれたので手ごたえを感じました。それ以降は過去問を週1で解きつつ、「大学編入試験問題 数学/徹底演習」や「大学編入のための数学問題集」の東大に出そうな範囲(微分方程式、線形代数、確率、複素関数)を1周しました。また、過去問を解いていて理解が不足していると感じた分野に絞って知識を補っていきました。2周目以降はその問題で問いたい本質が見える感覚があり、より理解が深まりました。過去問は平均して6~7割、悪いときは5割くらいでした。その年の体験談と大問ごとに比較すると、自分が解けなかったところは多くの人が難しいと感じる部分だと分かったので、そういう問題は捨て問で、解ける問題を確実にとることが合格の鍵だと思いました。
英語
過去問を解き、それなりに書けましたがどの程度減点されるか分からず不安でした。先生に添削をお願いしたところ、合格ラインを下回ることはないと言われたのでまずまずかなと思いました。もう数年分解いてみて、和訳や英訳は練習すればある程度点を取れると感じましたが、長文は問題によっては主題をつかめず答えられないことがあったので長文読解に多く時間をさけるように意識しました。
5年4月
平均勉強時間 6時間
授業が始まったり、願書を提出しなければならなかったりで勉強時間を思ったよりとれませんでした。志望書を書く必要がありますが、そこから2次試験で質問されるので、自分の意志でしっかり書くべきです。授業はほとんど取らず編入勉強に集中しました。
数学
定期的に過去問を解き、足りないと思った部分を補強していきました。「工学系学生のための 複素関数攻略への一本道」で複素関数についてさらに学びました。また、統計の範囲も出題される他大学も受けようと思っていたため「確率統計キャンパス・ゼミ」を読み、「明解演習 数理統計」を解きました。連続型確率についての理解が深まったので良かったです。
英語
「大学入試 最難関大への英作文 ハイパートレーニング」で英訳の練習をしました。また、東大の問題はNatureやScienceなどから引用されるので、これらの科学記事を毎日1時間ほど読んでいました。翻訳には、DeepLを使っていました。また「英語で読む日経サイエンス」という英語と日本語の一対一対応となったサイトがあったので和訳の練習として使っていました。
5年5月
平均勉強時間 7時間
過去問中心です。ここまでで昨年のものを除き14年分を一周しました。出来は、数学が平均7割、英語はどの年も6割はきらない感触でした。
数学
ある程度基本的な問題はできると感じたので、「演習 大学院入試問題ⅠⅡ」のうち試験に出そうな複素積分,固有値,微分方程式の問題を選んで解きました。
英語
これまでと同様に科学記事などを読みつつ、「技術英検1級問題集」で工学系の和訳、英訳だけさらに練習しました。Grammarlyというスペル・文法添削ツールを使えば即座に修正し時短できるので重宝しました。
5年6月
平均勉強時間 7時間
これまでの総復習が中心です。試験の2週間ほど前に、同じ東大志望の友達と実際の試験スケジュールと合わせて昨年の過去問を解きました。緊張感をもって取り組めたのでかなり良かったです。
数学
単元ごとに教科書、マセマ等を見直し知識の漏れがないか確認していきました。過去問は2周し、最近のものは3周しました。過去問を解いていて漸化式の知識が足らないと感じたのでヨビノリの漸化式全パターン解説する動画で解法を覚えました。
英語
引き続き科学記事を読みつつ、過去問の和訳、英訳を中心にひたすら練習しました。
試験当日
机の前後の間隔が狭く、感染対策として段ボールで囲われていたため窮屈でしたが、周りを気にすることなく集中することができたので逆に良かったです。また、前日の他大の試験で時間を気にしすぎて問題に集中できなかったので、思い切って最初は時計を全く見ずに大問が終わるごとに確認する程度にすることで問題に没頭することができました。
英語
- 英文和訳 7割
Zoom疲れに関する英文 - 和文英訳 6~7割
量子コンピュータに関する文 - 長文読解 8割
微生物に関する英文
6割を切ることはまずないと感じました。大問1が15分、大問2が25分ほどで終わったのでじっくり長文を読めました。見直しまでできました。
数学
- 微分方程式 7~8割
誘導にしたがって解く問題 - 確率 6~7割
ベイズの定理、期待値、分散、確率の最大値等の問題 - 複素関数 6~7割
複素数の図示、複素積分、写像の問題 - 線形代数 8割
n×n行列の行列式、固有値、固有ベクトル、逆行列の問題
どの大問も様々なタイプの問題が出題され、素早く処理する能力が求められていると感じました。一問一問はそこまで難しくなかったと思います。一応すべての問題に手をつけることができ、大きな設定の読み間違いがなければ6割を切ることはないと感じました。
力を出し切ることができたので清々しい気持ちで東大を後にしました。
1次試験合格発表
合格発表までに気になって検算するたびに間違いを見つけたのでどんどん怖くなっていました。合格発表を迎え、いざ本当に自分の番号があると信じられない気持ちでした。一緒に見ていた友達も喜んでくれたので嬉しかったです。
2次試験
面接官が10人ほどいてL字型に座っていました。日本語面接で、志望動機を中心に聞かれました。卒研内容や専門知識についてつっこまれることは無かったのでこれでいいのかなと感じました。
質問内容
- 第1志望学科と志望理由
- 希望コース
- どのように研究室をみつけたか
- ビジネスコンテストやプログラミングコンテストでどのような役割で何を頑張ったか
- 部活で取り組んだことがどのように勉強などとつながっているか
- 将来どのようなことをしたいか
- 試験の出来(英語、数学それぞれ)
結果
1次で合格した20人全員が合格していました。学科も第一志望の学科だったので安心しました。
成績開示
英語は思ったより低く、数学は9割もありました。解法は全て示していたので多少の計算ミス等はあまり減点されないのかもしれません。
思ったこと
合格できた要因はコロナでの状況を味方につけ、早くから編入勉強を始めたこと、そして1年以上継続したことだと思います。目標を設定し、必要な情報を集め、努力をするという過程は勉強もスポーツも同じだと考えているので、頑張り方を知っていることが有利にはたらきました。東大編入を目指す人は、もちろん勉強を早くから始めるのは大切ですが、部活動、学生会、コンテストなどなんでもいいので本気で取り組むといいと思います。本番で、より力を発揮しやすくなるはずです。
最後になりますが、情報収集が非常に重要な編入試験においてこのようなサイトがあり、更新され続けることは本当にありがたいことです。この体験談も未来の誰かの励みになれば幸いです。
管理人
さーどうでした?
過去の体験談を見ていると、席次で上位の人(というかほぼ上位ばっかだけど)は勉強開始時期が4年冬だったりしているのですが、おのちゃん氏は3年春休みからと早いです。
全国に国公私立合わせて57校あり、1学年あたり1万人強。(文科省サイト参照)
必ずしも各校席次1位の人だけが受けるわけではなく、さらには合格者数も20名付近。
席次上位とはいえ、それは通っている高専での話。全国で見ると一気に狭き門になります。
時々過去の体験談でも言ってましたが、早めにスタートしたほうが後々にも余裕ができるので、この体験談読んだ人。今からスタートしましょう!
しっかし数学9割は凄いですね。本当に。いやホントに凄い!
4年春休みの数学「解ける問題を確実にとることが合格の鍵」はそうだけど、いやいや9割取れるってどんな問題が来ても確実に取るってやつじゃん!っと思わず言ったのは管理人だけじゃないはず^^;
管理人の場合はおのちゃん氏と違い、どう考えても間に合わない(泣)のでせめて解ける問題は体に染みこませて解けるようにしておこう!でした汗
参考書
数学
やることがない場合に取り組むのは良いかもしれません。
あまり使っている人はいませんがオススメです。
1回目に通し読みして2回目以降でじっくり取り組むのがオススメです。他の単元のマセマも同様です。
複素積分まで流れで学ぶのでわかりやすいです。写像については別で学ぶ必要があります。
英語
熟語強化用に。音読教材としてもオススメです。
ある程度力がついてから取り組むといいです。
ポレポレの後にやったので新しい学びは少なかったです。ポレポレより問題数が少なく解説が充実しているので1冊目に使うにはありかも。
編入試験とは少し傾向が違います。